おみやげ

小江戸・川越のおみやげ

その地で育ったものには見えない景色がある。

その代表格がおみやげ、だと今おれはようやく気づいた。
地元のみやげ屋に入る地元民はいない。
そして川越は観光地だけあって、みやげは豊富だ。
というより、蔵造りのあたりなんてみやげ屋ばかりだ。
なのに地元民であるおれは、川越みやげについてほとんど無知であった。

今回初めて意識してちょっこり調べてみた。
いやはや思った以上にレベルは高かった。
その中でもちょっこり(←最近ハマり気味)気になったものをここにアップしようと思う。
ちなみに資金難により購入は一切していない。

つばさかりん

つばさかりん

NHK朝の連ドラで埼玉唯一の舞台となっているのが川越。そのドラマ「つばさ」を記念して作られたと思われる菓子である。
実は食べたことはおろか見たこともないのだが、前に同じ職場で働いてたおっさんが、何かというとつばさかりんを食いたがっていたので、きっと中毒性のある美味しさなんだと思う。
仮にお口に合わなかった場合は、おっさんを責めてください。
ちなみに主役の多部未華子は、設定上の学区からすると、おれと同じ中学。「どーでもいいし」という肉声を生で聞かなくていいのがネットのいいところ。
じぇじぇじぇ。

いも恋

恋はいい。なにしろ恋はいい。ワクワクするぜ。
「愛」という言葉に妙な抵抗を覚え、「恋」という言葉に惹かれてしまう、眠れるプレイボーイのおれだ。
まだ出番はないが、ここぞという時のため、ひとり黙々とバットを振り続けるプレイボーイ界の秘密兵器だ。
"秘密のプレイボーイ"
――なんだかアダルトだ。

とにかく恋でしょ。嗜好品であるお菓子としての本分を考えたら、やっぱり軽い気持ちで手を伸ばせる「いも恋」なのだ。
意味わかんねーよ、と言ったそこのあなた。ちょっと考えてみてください。
「いも愛」だったら、なんだか重すぎるでしょ。
ちょっとした出来心で豆に手を出したら、浮気だ離婚だ子供はわたしが引き取りますみたいな、ヒステリックな噛みつかれ方しそうじゃないですか。
え、誰にって? そんなの知りませんよ。

とにかく午後3時に軽い気持ちで楽しめるのは「いも恋」なのだ。
"午後のいも恋"
――なんだかアダルトだ。
"軽い気持ちのいもでした"
――もう意味不明。

必ず温めてお召し上がりください、と注意書きがあるが、やり過ぎは厳禁。
ヤケドするぜ。

いも恋

とにかくサツマイモ料理

紫いもソフトクリームが主流らしいのだが、おれが推すのは菓子屋横丁で売っている(いた?)カップのやつである。
アイスmeetsイモ。子供心にこれは衝撃だった。当時はまだこういう感じに野菜がスイーツ化するというのは一般的じゃなかった気がする。
今もあるのかわからないが、相当レベルの高かった記憶がうっすらあるので、たぶん生き残っていると思われる。ちびまる子ちゃんのクラスメートっぽい女の子が書かれていれば、それがそれである。

さらに遠い記憶によると初めて食べたときのパッケージのキャラは、ワンピースを着たまつ毛の長いつぶらな瞳のサツマイモで、キモかわいいギリギリアウトのキモさだった気がする。
アイス以外でもスイートポテトは絶対買ったほうがいい。
イモ嫌いのおれが、あれはもうイモとしてのピリオドの先へ抜けたと大絶賛する和洋折衷な菓子。
あとツボ焼きいもとかも超おいしいらしい。

焼き鳥・焼きとんひびき

これは正確に言うと東松山名物なのだが、非常に美味しいのでぜひ。
塩? たれ?
大体の方が焼き鳥といえばこの二つの選択肢しかないだろう。
だが、ひびきを一度食べると、もうひとつ「みそ」という選択肢が加わる。
ここの辛みそダレはもう本当に激烈にうまい。たれ・塩を超えるマッチングだ。
ひびきを食べた瞬間が、人生の中の焼き鳥ターニング・ポイントだ。
丸広の裏と川越市駅の前に小さな店が出ている。焼きとんもジューシーなのにクセはないという、至高の一品。

また川越市駅から本川越駅までの通り道にある若松屋は、連日満席のやきとんの有名店である。
座席に座った瞬間から、ストップをかけるまで、食い終わった次の瞬間には自動的に皿に新たな焼きたてが置かれていく至福のシステムである。
宇多田ヒカルいわく「イッツ・オートマチック」だそうだ。

鐘つき最中

福呂屋

「さいちゅう」ではない、「もなか」である。
と書き出したのが失敗だった。もうおれの頭には、鐘をつき始めた住職の姿しか浮かんでこない。

「申しわけございません。せっかくお越しいただいたところ恐縮ですが、主人はいま鐘をついている真っ最中でございまして……またお時間を改めていただけましたら」
ん、誰だこのおばちゃん? 奥さん? 
で訪ねていったのは誰? え、おれ? なんで?

ちょっと疲れがたまっているのかな。

coedo beer (コエドビール)

ここ最近の川越みやげのMVPはおそらくこれでしょう。
本場ドイツでも大絶賛されたという、上品で繊細なビール。
なによりラベルのデザインが素晴らしい。これを見ているだけで美味しさは三割増しだ。
ビールと発泡酒の違いが本気でわからないおれだが、なんだかビール通の知人たちが大絶賛しているので、自信をもっておすすめできる。
お口に合わなかった際は言ってくれれば、ぼくが自称・ビール通のきゃつらをヒステリックに罵倒しておきます。

コエドビール

蔵里(クラリ) & モデスティ

くらり

ここで挙げた大体の物が売ってんじゃないかという川越みやげのデパート的存在。
みやげもの以外にも複合施設として、小江戸感ある展示とかやったりしているので、観光にきた際には寄っておいて損はない。ディズニーにおけるボン・ヴォヤージュ的存在。

余談だが、蔵里の前にある「てんこ盛りラーメン」は高校時代よく行った。深夜無性に食べたくなる。
その隣くらいの建物の二階にあるイタリアンレストラン「モデスティ」はなんかもうめちゃくちゃ人気。
村上春樹ライクな小洒落た世界に生きるこしゃくな知人女性が「ここのバーニャカウダ以上のバーニャカウダはない」と評した。
バーニャカウダってなに? 偉人?
そんなことを言っていたおれも、今やいっぱしのバーニャカウダ好きです。
すごく分かりづらいとこにありながら、すかした食通で溢れかえっているので確実に予約すべし。

創作みやげ

ベルベット・アンダーグラウンド。
アンディー・ウォーホル。
「だからなにそれ? 偉人?」というあなたも、アンディー・ウォーホル作のあのバナナの絵は見たことがあるだろう。
世界一有名なバナナの絵である。 とにかく毎年のように色んなブランドがTシャツの柄にするあれである。
あれ、サツマイモで作ったらどうでしょう?
みたいなアイデアを突如閃いてしまった。
閃いてから数十分経った今、なんだか超絶に名案のような気がしてならない。
UNDERGROUNDの文字もイモなら立派に成り立つ。「地面の下のサツマイモ」完璧じゃないか。ちょっと止まれないところまで熱くなってきているのを感じる。
少なくとも、おれが見かけたら手にとるだろう。
その後、静かに棚に戻す気がしなくもないが、買うやつは買うんじゃないかと思う。

川越観光協会の皆さん、よろしくお願いします。
もらうもんさえもらえれば、細かいことは自分なにも言いません。

オリジナル・サツマイモTシャツ
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